かさね ニナ 死

漫画『累-かさね-』3巻のネタバレ・感想をご紹介していきます。今回は、新キャラ・懐かしキャラが続々と登場。ストーリーが新たに展開していく重要シーンを多くを迎えることになります。 ⇒ 『累-かさね-』3巻を無料で読む 以下 顔を交換していたため、ニナは「淵かさね」として入院することになった。世を憎むような鋭い目つきをした野菊の顔は、かつての大女優「淵透世」にそっくりだった。嘘の顔で雨野と愛し合う累と、素の顔で男たちの慰み者になる野菊。「これからどんな舞台をつくっていこうか」と興奮する羽生田の顔をとらえ、累は唇を重ねた。しかし、羽生田がそれほどまでに誘のことを想っていたというのなら…それに疑問を持った羽生田は、逆に野菊を吊り上げるための芝居を打つことにした。周りから推薦され小劇団の女優をしていた透世は、本心では人前で演技を見せるよりも裏方として衣装をつくりたいのだと言う。ところが累がニナの部屋を出ていこうとした矢先、ニナは意識を失い倒れこんだ。累が演じるのは、踊りの褒美に恋した相手の首を欲する美しくも恐ろしいユダヤの王女『サロメ』だ。あらかじめそのことを承知していた羽生田が野菊を受けとめてつぶやく。「暁の姫」第一稿のコピー、育ての親からもらった腕時計、そして大量の手紙。村人と暁を腹の底から恨んだ宵は祈りをやめ、村を滅ぼそうとする。累は最後まで野菊のことを信じようとしていたが、口紅が野菊によって再度入れ替えられていることを知り、非情に徹する覚悟を決めた。「こんな素晴らしいニーナを見せられたら…自分でもわかる…私は一生かかってもこのニーナを越えられない！」『かさねちゃん、どうか生きて…。そして…いざなさんのこと、あなたがみてあげて』「ニナ…私にしかできないのね…。あなたの望みを私が叶えてあげる。そしてあの化けものと口紅も…私が必ず…」（これまでこの顔をさんざん嘲笑われ、見下されてきた。それでも、これほどの悔しさを、私は知らなかった…！）言いようのない恐怖を感じて、累は演技どころか台詞一つ、身動き一つ、満足に表現することができなくなってしまった。（ここは口紅を使い始める以前より、ずっと屈辱的で惨めな地獄──）醜く何も持たなかった女は、海道の手で品も華もある芸術品のような女に仕立て上げられ、「伝説の女優」の呼び名を手に入れた。…羽生田は誘と同じ朱磐の人間であり、村の唯一の生き残りでもある。もともとドロドロしたダークな世界観の作品でしたし、『累という作品らしい終わり方』だったとも思います。羽生田と累はニナを彼女の自宅へと連れ帰り、そこで介護と交換を行うことにした。今まで築き上げてきた夢も、愛も、友も、いっぺんに失ってしまった。小学生の頃の西沢イチカ、かつて友のような関係だったこともある丹沢ニナ。累の唇に塗られた深紅の口紅は、母の遺品。累は母から聞いた言葉を思い出す。川に飛び込んだのが透世だったということは、海道の家に野菊とともに監禁されていた醜い顔の女は誘本人だったということだ。幾は美しいがゆえに妬まれていたことを。自分とは根本的に異なることを。誘の目から涙があふれた。たとえそれが消えゆくものへのはなむけであったとしても、こんなに嬉しいことはない。「過去や罪は消えなくとも、あなたは歩いていけるはずよ。私もあなたと一緒にその地獄を歩んであげるわ」（…わかっていたことじゃない。イチカちゃん、その唇からどんなに汚い言葉がこぼれようと可愛らしい顔の均衡は崩れない。うらやましい。ほしい。その顔がほしい！）高校生の時、累がジョバンニ（主役）を演じるために顔を奪った相手だ。人気演出家・烏合零太の目に留まり、無名の女優ながら主役に大抜擢された。累はプロの舞台で演じられる喜びを噛み締めるとともに、演出家・烏合と惹かれあっていった。カーテンコールの最中に累が目撃したのは、誰よりも先に劇場から出ていく雨野の姿。「私にとっては、人から醜いとされる者も、人から美しいとされる者も、同じ『異形』でしかないわ。透世（はは）が守ろうとしたあなたが今も望むなら、顔を永久に交換したとて私に失うものはない」顔が奪えなくなったことで、咲朱は舞台を降板。そのまま羽生田の前からも失踪した。醜さゆえに迫害され、醜さゆえに世界のすべてに怒りを抱く「宵」に、累はどうしても自分自身の姿を重ねてしまう。累に与えられた罰は、前科者というレッテルと、老いた丹沢紡美の肉体。甘さを切り捨てた累の演技はますます冴えわたり、「サロメ」は大成功。誘は再び眩い舞台の世界で活躍し始めたが、その心にはもはや海道への愛はない。丹沢ニナとしての累と安らかな時間を過ごす一方で、野菊はカラダを買う『客』である天ヶ崎に「淵かさね」のことを調べさせていた。「…しっかり見届けてあげるわ。咲朱（あなた）の運命の最後の瞬間（クライマックス）をね」誘は自らの生を否定した村の者たちを亡き者にし、村に火を放って外に出た。あとは累の口紅を偽物にすり替えて、その素顔を衆目の前に晒してやればいい！そうして生まれてきた子供は、ふた目とみられぬ醜い容姿をしていた。累は誘の遺品である「暁の姫」の台本を羽生田に突き付けると言った。この男は誘（母）に取りつかれている。誘への執念だけで行動している。誘は浪乃から顔を奪い凪と一夜だけの契りを結ぶと、朱磐を焼き尽くして姿を消した。美しく村の誰からも愛されている里の巫女「暁」と、醜さゆえに誰からも蔑まれる山の巫女「宵」姿を消していた「空白の期間」に何かがあったことは想像に難くない。学芸会の主役…シンデレラに推薦されたのも自分を晒し者にするためだと累は理解していた。スタッフの視線が、共演者の視線が、そして想像の中の客の視線が、累を射抜く。野菊の態度が軟化しているのは、かさねと同じように過去を知る人物を訪ねて回ったから。誘が亡き凪にあてて書いた大量の手紙の中には、羽生田のことも書かれていた。仮に今、ニナがそのままの自分で舞台に立てば、周囲は「丹沢ニナの演技はあの程度だったのか？」と失望の眼差しを向けてくるだろう。これから野菊は、ただ顔を略取されるだけの存在に成り果てるのだ…。（そんな…植物状態になってから一年以上経つはずよ…？あなたは…一体どんな孤独を…今の今まで…！！）一方、同じく烏合に恋心を抱いていた本物のニナは、累が自分の顔で烏合とキスしているところを目撃し、激昂する。その悔しさは執念となって累の演技に宿り、鬼気迫るほどの迫力をもたらした。そうして羽生田は生涯を誘にささげることを誓い、誘は凪の面影を宿す兄・海道与に惹かれていった。「鬼女はその醜さゆえに、あらかじめすべてを奪われていた。彼女は哀しみに暮れるのか…いや、恨み憤るだろう。目を吊り上げ、牙を剥き、奈落の底からにらみあげる。お前もそうしてきたように」しかし、ニナは両親のため、そして自分自身のためにも『女優・丹沢ニナ』の名を売りたいと考えている。一方、地下室に監禁されている野菊のことを探し回っている男がいた。「あの二人は本当に仲が良かったねえ。お互いに頼りあうというか…寄り添って生きてるように見えたわ。まるで姉妹みたいに」「丹沢ニナが失踪した」というニュースが連日、テレビを賑わせている。そう考えてすぐ、累の脳裏に一筋の希望ともいえる美しい顔が浮かんだ。透世は周囲からの期待を裏切らずに済むし、誘は光差す舞台の上で輝ける。次に目が覚めた時、野菊は手足を縛られ、口には猿ぐつわをはめられ、冷たい地下室の床に転がっていた。累は幾に睡眠薬入りの飲み物を含ませて眠らせると、顔を交換して舞台に立った。つまり、この世から失われたのは淵かさねの肉体と、丹沢紡美の精神。「透世さんから頼まれてるんだ。醜い少女に美女の役を与えてやるようにと。もちろん『口紅』を使ってな」累が舞台で素晴らしい演技を披露する一方、幾は天ヶ崎と協力して地下室から野菊を逃がす。羽生田は協力者として母を支え、秘密を共有していた人間なのだという。精神的に追い詰められた累は稽古中に倒れてしまったが、野菊の励ましもあり復活する。ニナは取り返しのつかないことをしたのだと、ようやく気がついた。やがて幾の「宵」が完成に近づいてくると、新たな問題が発生した。再び顔を失ってしまった累は絶望に暮れ、一時は身を投げてこの世を去ろうかとも考えた。海道は誘を母娘ともども屋敷から追い出し、本物の淵透世を屋敷に招き入れた。自らの美貌を呪い『他の誰かになりたい』と語る野菊に、累は取引をもちかける。野菊の計画は失敗に終わった。累は野菊の裏切りに気づいていたのだ。誰もが美しいと称賛した淵透世の顔をした女の正体は、顔を永久交換した誘ではなく淵透世本人だった。「何の用かは知らないが、容姿（かお）を見られることを苦痛と思うなら、役者などやめたほうがいい」累の過去を知る相手…警戒するよう忠告する羽生田を累はあざ笑う。誘から押し付けられた晩年の母の醜い顔にそっくりの『本物の丹沢ニナ』羽生田の目的は、舞台に取りつかれた累を母と同じ場所に立たせること。大勢の観客と著名な舞台関係者が集まる「マクベス」最終日のカーテンコールで、累は醜い素顔を露呈し、すべてを失うのだ！「…浪乃は怒るだろうな。あの子の命を奪った人にこんなことを言うなんて。ぼくはきっと地獄行きだ」劣等感と羞恥心を抱えて、醜い化け物として舞台の上に立つと決めたのだから。累の演技力が戻ることはなく、観客からの拍手には勢いがなかった。咲朱の役どころは、かつて母たる淵透世（誘）が最後に演じた因縁の『マクベス夫人』何も知らないニナの両親を騙す罪悪感に悩む累だったが、羽生田に鏡を突きつけられて思い出す。ところがそれを不憫に思った助産婦は密かに誘を助け、外界から隔離された小屋で誘を育てた。累はまだ、野菊がニナを手にかけた張本人だとは気づいていない…。一方、海道は「愛した女は架空のものだった」という現実が受け入れられず、少しずつ壊れていった。海道与によって川に捨てられた累を助けるために自らも濁流に飛び込んだ人物。（戻ってきた。私のための光。私のための静寂。今、ここにある数百の目に醜い化け物は映っていない。私は今、美しい…！！）2人は手紙を通じて情報交換を続け、ついに誘が日紅の在り処を突き止める。ニナは累から口紅を奪い、自分本来の顔で烏合との待ち合わせ場所へと向かった。せっかく…せっかくこれから『淵かさね』としての人生が始まるところだったのに…。野菊は信じられないと思いながらもニナの家に忍び込み、『開かずの扉』の向こうに何があるのかを見た。しかし、2人は一瞬で惹かれあい、お互いの素性を知らぬまま無二の友人として絆を深めていく。浪乃の息の根を止めてしまった誘には、浪乃として凪と愛し合うことはできなかったのだ。それとも記憶から抜け落ちていた誘の最後の言葉を思い出したのか？「羽生田さん。私はもう…この先の『暁』を演じることはできません。ごめんなさい。役を…降ります」決定的な何かを壊してしまったかのような笑い声を響かせた後、累は残酷にも非情に徹する覚悟を顔に滲ませた。家事により倒壊した廃屋の一部に圧し潰されて凪はその場で亡くなった。とはいえ、最終回の展開が気にくわないものだったかと言われれば、実はそうでもありません。累に協力して顔を与えていたのも、累が舞台に立てるように励まし続けてきたのも、すべては計画のため。羽生田（野菊の企みも憎しみもすべて、『咲朱』が完成するための養分となったのだ──）野菊は累を葬りたいと、幾は累を助けたいと、羽生田は累を成功させたいと思い、その居場所を探すが見つからない。しかし、母が最期に言った「生きて」という言葉と、舞台への執念とも呼べる情熱が累を思いとどまらせる。「ニナも、咲朱も、私の中にいる。だから自分でも無謀だとわかる。この醜い身でどんなにおいかけても、かつての彼女たちには追いつきようがないもの」そういうと海道は累を橋の上から濁流荒れ狂う川へと突き落とした。目に涙を湛えたままホールから出る累を2人の人物が待ち構えていた。だから丹沢紡美は、己のすべてを捨てて累に絶望を与えることを決意した。野菊は累の罪（ニナの死）を知らないはずなのに、なぜそんな言葉が出てくるのか？混乱する野菊は、急激な眠気に襲われ、そのまま倒れこんでしまう。累は醜いがゆえに家から追い出され、野菊は美しいがゆえに透世（虚構）を失って狂った父親に飼われ続けてきた。そう言う幾に心を開きかけた累だったが、すぐに思い知ることになる。かつて生まれることすら許されなかった醜い者は女としての幸せすらも勝ち取ったのだ。スタッフも「これなら本番も大丈夫そうだ」と安堵のため息を漏らす。累は、もしかしたら学芸会を通して状況が変わるかもしれない、という淡い期待を抱く。ゼロから再スタートした咲朱は瞬く間に話題の女優として噂されるようになり、大舞台への出演が決定した。今回は漫画「累」のあらすじを1話から振り返りつつ、結末のネタバレまで追っていきたいと思います！そんな中、美しい顔を持つ五十嵐幾（いがらし いく）だけは累の実力を認め、友達になろうとしてきた。確かに累はめちゃくちゃ悪いこともやってきましたが、だからといってなんて残酷な結末…！強引に『永久交換』を成立させようとする羽生田を、累はきっとにらみつけた。（どんなに私自身が罪にけがれていたとしても、奈落の底から光の下へ…私は私の意志で這い上がる）最終公演、累の口紅は野菊がそうするまでもなく偽物と入れ替えられていたのだ。だが、それでも、透世の娘であるというプライドが累に「やります」と言わしめた。キスとともに累の顔は美少女のそれになり、イチカの顔は醜い累の顔になったのだ。おまけに本番ではいじめの首謀者である美少女・西沢イチカが「シンデレラの変身」とともに役を明け渡せと迫ってくる。累はときに役が『抜けなくなる』ほど役柄にのめり込むタイプの女優だが、今回は特にそれがマイナスに働いた。この土壇場になって、羽生田は最後に累のためのワンシーンを追加した。細いつながりを手繰り寄せてたどり着いた先は…親友だと心から信じていた「丹沢ニナ」こうして淵透世そのものの美貌と、執念によって成熟した才能を持つ新たな女優が誕生した。美しい巫女と醜い鬼女、それは透世と誘、野菊と累に通じる運命の一対。2人とも村のために祈りをささげているのに、宵だけはその醜さゆえに村人から口汚く罵られる。「そうだ。この顔がお前からすべてを奪った。だから友も、家族も、愛も、お前は持ちえなかった！違うか？」その後、誘は偶然「口紅」を手に入れて、同じ村の美少女の顔を奪う。凪は透世に惹かれたが、不幸にもその正体が誘であること、そして誘が浪乃を手にかけた張本人であることを知ってしまう。累は一芝居打ち、父親に「妻はカプグラ症候群だ」と思わせ、正常な母親を病人に仕立て上げた。「君の素顔も罪も知って、それでも憎みきれない。どころか、浪乃への思いとは別に、ぼくは君を好きになりかけている」夫を血なまぐさい闘争と陰謀に駆り立て、その果てに精神を病んでしまう狂気の女だ。誘の昏い過去と、口紅の原材料となる鉱物顔料「日紅」が秘められた村だ。透世といざなが子供を連れて4人で地方に身を寄せようとしていたことを。羽生田と誘の集大成とも言えるその舞台で、累は咲朱として「暁」を、そして五十嵐幾が「宵」を演じる。思えば、累は最初からどこか上の空でいつもの気迫を感じさせなかった。個人的にはハッピーエンドであってほしかったですし、羽生田とキスしたあたりまではそんな雰囲気だっただけに、本当に辛いラストでした。丹沢紡美の手には野菊が渡したであろう『ニナの日記』と、包丁が握りしめられていた。仕事が順調であるのはもちろん、プライベートでも「サロメ」で共演した新進気鋭の若手俳優・雨野と恋人関係になっていて、まさに幸せの絶頂。「よく見て。この『暁の姫』でいざなが演じたかったのは…『宵』の方」「嫌よ…嫌…絶対に嫌！！私は…生きる最後のその瞬間まで、光の中で美しく在りたい！私は『本物の私』に成るために、生きるために、美しさが必要なのよ」とはいえ野菊はこれまで18年間、ずっと屋敷に監禁されてきたため、世間のことなど何一つわからない。「逃げようとしたことは水に流してやろう。お前さえいてくれるなら、他は何もいらない」誘と同じ家で、誘と同じ年に生まれ、醜い誘が存在を消された一方で、愛されて育った美しい娘。「そうよ。母が演じたかったのは美しい巫女『暁』ではなく、醜い鬼女『宵』。そして…」住み慣れた家に火を放つと、誘は玄関を隔てて聞こえてくる凪の声に耳を澄ませた。鬼気迫る幾の「宵」を前にすると、どうしても累が動揺してしまい、稽古が続けられなくなってしまうのだ。「ニナ…待っててね。あなたの地獄と私の地獄…それ以上に苦しい奈落の底へと、あのひとを堕としてみせるから──」「これはお前の物語だ。長い長い昔話の線上から外れて、未知の果てへと向かう女の生き様だ。その容貌（すがた）で黒々とした執念を、憎悪を、あらがえぬ哀しみを表現してみせろ。二目と見られぬおぞましさが、無様さが、滑稽さが、お前の生き様であるなら、どれだけ醜かろうと構わない！」「舞台に出るため、もう一度だけ顔を貸してほしい。これで最後にする」と口火を切る累。稽古場に入ると案の定、咲朱だったころには感じなかった蔑みと好奇の視線が、素顔の累に注がれた。全体的にダークな雰囲気が漂う「累」ですが、果たして最終回はハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか…！？「…おれはもう、お前の向こうに『いざな』の面影など見ていない。だからお前も、『咲朱』や『ニナ』や『淵透世』に届こうと追うのはやめろ」そうして透世が子供（野菊）を身籠った頃、ついに海道は決定的に壊れてしまった。その村では時代外れな因習が残っており、誘は生まれてすぐに「醜いから」という理由で命を奪われそうになる。動揺する野菊の目に飛び込んできたのは、こちらに視線を向けている舞台上の累の表情。その時の累の表情は、羽生田がこれまで一度も見たことがないものだった。かつて心を許した友に裏切られ、累の心に残ったのは純粋に舞台にかける執念のみ。読み始めたら止まらない系の、のめり込んで読んでしまう漫画でした。かつて、羽生田は海道与から命じられて腐りかけの醜い女を朱磐に運び、息の根を止めてから埋葬した。「…ありがとう。けど私はもう望まない。それに…いざなにも透世にも翻弄されることなく、私たちは私たちのけじめをつけなければ」苦境から脱した累の演技はさらに冴えわたり、かつての母を超えるほどの領域に達しようとしていた。「ふふふ…誰も彼もあざむいてみせる。私が生きるための虚構（せかい）を、誰にも壊されないように」羽生田「お前の望み通りじゃないか。累がいる限り、お前が世間から忘れ去られることはないんだ。逆にあいつがいなくなれば、お前は何を失うのか…。よく考えた方がいい」荒唐無稽な話だとは思いつつも、幾は「咲朱こそが累なのではないか？」という疑念を強めていく。やがて誘は海道の元から離れる決意を固めたが、運悪く海道が先にその企みに気づいてしまう。原因は累の不調。一言でいえば役に入りきれていない。こんなことは初めてだ。今、舞台を終えて満足している累の命を奪っても復讐にはならない。野菊は「にせものを越えられない」というニナの苦しみを想い、ゾッとしながらも決意を固めた。これまで羽生田はずっと「淵透世」のことについて一切話そうとしなかった。それを口紅の材料である「日紅」に含ませてくちづけをすれば、2人の顔は永久に入れ替わる。舞台の上では、燦然と輝きを放つ丹沢ニナが素晴らしい演技を披露している。当時、口紅の伝承について調べていた誘は、少年だった羽生田を通じてある男と手紙のやりとりをしていた。以前、野菊に見せられたことがある天ヶ崎は「累」のことも「口紅」のことも知っている。一方、誘は駆けつけてきた羽生田の手によって助けられ、一命をとりとめた。>>見放題動画は充実の180,000本！<<誘によく似た累の素顔を照明の下でさらし者にすることなど、羽生田には考えられなかった。女優・淵透世の名は瞬く間に演劇界にとどろき、そしてついにその男の耳にも入った。学芸会の後、西沢イチカは足を滑らせて屋上から落ち、命を落とした。これまで何度も「えっ！？」と読者を驚かせてきた累らしい、とびきり衝撃的な最終回でした。ニナの顔をした累は、しかしニナ本人よりも明らかに美しく、気高く、異彩を放っていた。確かに累の演技は及第点に達したが、かつて咲朱だった頃と比べれば雲泥の差だ。（私は精一杯、丹沢ニナを演じてきた。顔も、声も、しぐさも、においですら…だから烏合さんは気づきようがない）凪は考古学者であり、口紅の材料である未知の鉱物「日紅」について調べていた。身近な人物が別人にすり替わっているという妄想を抱く病気が実際にある。野菊の実の父にして稀代の演出家だった海道与は、醜いが素晴らしい演技の才能を持つ誘と手を組んで「透世」を監禁し、美貌と才能を併せ持つ虚構としての「淵透世」を完成させたのだ。「すごいと思わないか。この最終公演、あいつは見事に演じきった。きっと胸の内は野菊（おまえ）の裏切りによってずたずたに引き裂かれていたろうに」…だから今、野菊は行き場のない怒りの矛先をまだ見ぬ姉にぶつけようとしている。海道は透世を小劇団から引き抜き、自らが企画する舞台のメンバーとして迎え入れた。丹沢ニナが自分の意志で失踪したかのように装いつつ、その遺体を埋めた。ハッピーエンドで終わるより、記憶に残り続けるであろうことは間違いありません。顔を奪った相手との関係性や母の代から続く因縁も見どころですが、なにより「美しくあることこそ生きること」という累の執念の凄まじさが異彩を放っています。一日二回行っているキスは、偽の口紅に効果がないとわからないように暗い部屋で行った。野菊は指一本でも意思疎通できる方法（口文字盤）で、ニナが何を伝えたいのかを探った。

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